英国菓子専門店にすることは決まったものの、
英国菓子メニューの「目玉商品」は何にしようか?
寝ても覚めても、考えるのはそのことばかり。
「色々な種類のスコーンを提供する、スコーン専門店にするのはどう?」
「でも、それなら日本でも増えてきてるから、珍しくない…」
何か、「これ!」というキャッチ―なものが欲しい。
そこで、候補のひとつとして挙がったのが、「クランペット」でした。
「クランペット」とは、発酵させた生地を、鉄板に流して焼く、
パンとパンケーキの中間のようなお英国菓子。
イギリスでは古くから親しまれているお菓子ですが、
日本で扱っているお店は、そうありません。
試作してみて、あまりの美味しさに自分でビックリ!
見た目からは想像がつかない「もちもち食感」で、
甘味がなく、塩味が効いているので、食事系、スイーツ系、どちらのトッピングにも合います。
日本では珍しいので、きっと、目を引くことでしょう。
こうして、クランペットを目玉商品に据えることを決め、
夏の間、試作を繰り返し、トッピングをあれこれ工夫し、
これまでのメニューを一新しました。
その他にも「月替わりのイギリス菓子」をメニューに加えました。
メニューは大まかに、3つに絞りました。
「クランペット」、「スコーン」、「月替わりイギリス菓子」です。
※クランペットのトッピングは、食事系、スイーツ系から選べるようにしました。
そして、2013年9月1日、
「英国式紅茶専門店」から、
「本格紅茶とイギリス菓子専門店」とコンセプトを改め、再スタートしました。
(「英国菓子」だと漢字ばかりになるので、ここで「イギリス菓子」としました)
もちろん、クランペットの美味しさには自信がありましたが、
日本人にはほとんど馴染みのない「クランペット」。
お客様に受け入れられるのか、
今までのメニューが無くなってしまい、常連さんがガッカリしないだろうか、
もしくは、何も変わらず、お客様がこないままだったらどうしよう、
不安でいっぱいでした。
しかし、ありがたいことに、
フェイスブックやホーム―ページで告知していたからか、
9月初日、お客様は続々といらっしゃいました。
次々に入る、クランペット、そして月替わりイギリス菓子の注文。
クランペットを召し上がっているお客様の反応はどうだろう?
と、おそるおそる、キッチンの陰から客席を伺っていました。
「クランペット、いかがでしたか?」
と、勇気を出して、帰り際のお客様にお聞きしたら、
「初めて食べたけど、美味しかった!」
「もちもち感がクセになりそう!」
「まだまだ暑いけど、これならパサつかないから食べやすいわ!」
等々、嬉しいお言葉を、続々と頂きました。
佇んでいた絶望の暗闇に、一筋の光が射した瞬間でした。